ヒトの歯周組織
歯周組織は歯そのものを支える周囲の組織で、歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨の4つから構成されています。
これらの歯周組織が炎症などによって破壊される病気のことを歯周病と呼びます。
歯槽骨は顎骨の中で、歯と顎骨の境界に存在し、歯を支える土台となります。歯槽骨の先端は丁度、歯根が収まる形になっており、歯をボルトとすると、
ボルト穴のような役割を果たしています。歯根と歯根の間の歯槽骨には、神経などが通っています。
歯根膜は、歯周靭帯とも言い、歯周組織のセメント質と歯槽骨を繋ぐ靭帯のような役割を果たしています。歯根膜は主にコラーゲン繊維から成り、
神経や毛細血管が通っています。歯根膜の血管を通じて、セメント細胞に養分が運ばれます。
歯周組織のセメント質は、歯根と歯根膜の境界に存在し、歯根膜とともに顎骨と歯を固定する役割を持っています。ヒトの咬合圧(噛み合わせる力)は、
平均して男性で60kg、女性で40kgほどあり、スポーツ選手などでは100kgを超えることもありますが、このような強い力が歯に加わっても大丈夫なのは、
セメント質と歯根膜によって、歯がしっかりと顎骨に固定されているためです。
歯肉は歯と他の歯周組織を繋ぐ口腔粘膜で、付着歯肉、歯間乳頭、遊離歯肉の3つから成り、健康な付着歯肉は、歯肉繊維によって、
セメント質や歯槽骨に密着しています。歯と歯の間にある歯肉を歯間乳頭と言い、歯の周りを囲んでいる歯肉を遊離歯肉と呼びます。